ここ数年ではオンライン講座が急速に発達し、無料の動画で施術を学ぶサイトや、オンラインで完結する講座も増えてきました。整体師を目指すにあたって、受講の方法について悩む方も増えてきています。
このページでは、整体・マッサージなどの施術のプロを育成する「YMCメディカルトレーナーズスクール」の田村先生にご協力いただき、「施術の学び方」についてQ&A形式で解説します!
経験豊富な田村先生だからこそ語れる経験談もありますので、ぜひ最後までご覧ください。
質問1「そもそも整体の施術を学ぶにはどんな方法がありますか?」
これから整体について学びたいのですが、そもそもどんな方法で学習できるのでしょうか?
大きく分けて、講座を受けて学習する方法と独学で学習する方法があります。
まず分かりやすいのが、資格スクールや専門学校に通学して施術の手腕を学ぶ方法だと思います。また、整体院やリラクゼーションサロンに就職して社内教育で学ぶ方法でも、直接指導を受けながら施術のスキルを身につけられます。
一方で、近年はSNSの発達も著しく、YouTubeや各種SNSを利用して独自に学ぶ人もいらっしゃいます。それぞれの学び方にはメリット・デメリットがありますので、それらを踏まえたうえで「どの方法で施術を学ぶのか」を決めると良いですね。
質問2「専門スクールで施術を学ぶメリットはありますか?」
通学と独学それぞれメリット・デメリットがあるのですね。
まずは通学講座のメリットについてお伺いしたいです。
プロの施術を直接してもらえる点と、就職活動や修了後のサポートがある点は大きなメリットですね。
メリットは大きく分けて2つあります。
1つ目は施術に関する幅広い知識や技術を直接教わることができるという点、もう1つは就職サポートや就職後のスキルアップの支援を受けられる点です。
専門スクールでは、施術に必要な専門的な知識を網羅して学びます。具体的には、解剖学や生理学、機能解剖、禁忌事項などですね。このあたりはSNSやYouTubeで網羅するのは難しい部分ではないでしょうか。
またもう1点、受講生に対して就職支援を行ったり、就職後にも講習会を用意しているスクールもあります。卒業生に対するサポートも熱心に行っているスクールだと、就職後も空いている時間に指導をしてくれるなんてこともあるかと思います。
質問3「SNSや無料動画ではどんな内容が学べますか?」
私もSNSをやっているのですが、整体についてどんな内容が学べるのでしょうか?
SNSや無料動画では、主に入門的な内容や基礎知識を学べます。しかし、それらで整体の全てが学べるとは限りませんので、注意が必要です。
SNSや無料動画では、主に下記の内容を学べます。
基礎的な内容や手順を学ぶことはできますが、学べる範囲やレベルが限定されていることもあると感じます。未経験の方が入門編として学ぶのは良さそうなのですが…。
しかし、資格を取得してお客様のために施術をすることを目指すとすると、無料の学習で済ませることはある程度のリスクとなりますね。整体師の施術スキルは、人の体を触り続けることで出来上がる感覚があるので。
ポイントは「あなたの身につけたいスキルがSNSやYouTubeといった無料の範囲内で満たせそうであるか」です。検討してみてください。
質問4「通学講座と通信講座・無料動画との大きな違いは何ですか?」
SNSや通信講座・無料動画で学べる内容でも、通学講座で学ぶ場合と比べて違いがあるのでしょうか?
1番大きなことは、「他人の体に触れる環境の有無」という違いですね!
身体に触れる感覚を磨いたりアドバイスし合ったりする環境の有無が、通学講座と通信講座・無料動画を比べた場合の大きな違いです。
通学講座は、目で見て聞いて学ぶだけでなく、現場で最も大切なお身体に触れるという感覚的な部分を磨くことができます。体に直接触れる整体師を目指す場合、この感覚を磨く経験は資格を取得した後に施術をする際に活きてきます。
通学講座では、生徒同士の身体に触れる機会を得ることで、実践さながらの質の高い練習が可能です。正しいか・正しくないか、よいか・悪いか、講師が直接その場でアドバイス、指導するため、高い吸収力で技術が身につきます。
整体師にとって「人に触れて研ぎ澄まされていく感覚」が大事で、それを自分のものにしていくには繰り返しの経験が必要です。感覚を磨かずに施術者になっても、感覚ができ上がるまでは効果のない施術やケガにつながる施術になってしまうリスクがあります。
詳しい事例は次「自己流で施術を身に付ける危険性はありますか?」でご紹介します。
質問5「自己流で施術を身に付ける危険性はありますか?」
SNSやYouTubeで整体師の動画の見よう見まねで練習してみようと思うのですが、それだけだと危険でしょうか?
無料動画のみで身につけた自己流の施術は、場合によってはお客様を傷つけてしまう恐れがあります。また、接客・コミュニケーションの技術が磨かれにくい点も頭に入れておきましょう。
禁忌事項の知識と対応方法が分からない
施術者になると、お客様の症状によっては禁忌事項も考慮しなければなりません。自己流の学習をしていると、この禁忌事項の知識が不十分であるがゆえの事故を招く恐れがあります。
例えば、血圧の高いお客様への施術では首をあまり触らない方が良いです。血流を良くすることでめまいを引き起こす可能性もあるためです。
そのほかだと、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症を患っているお客様に対しては、痛がるからと言って患部を揉んで直接刺激を与えるのも良くないですね。
マナーやコミュニケーション力が身につきにくい
独学や自己流で身につけにくいのが、施術者としてのマナーやモラル、コミュニケーション力です。
今は以前に比べて、お客様もお店選びや施術者のモラル的な面に対する目が肥えていらっしゃるので、注意が必要です。
実際に施術者として働くとなると、施術に直接かかわる知識・技術だけでなく接客のスキルやモラル・マナーという点も大切です。例えば異性への施術で気を付けるポイントや神経の位置を意識した施術スキル。これらは、独学だけでは身につけづらいのが現状です。
このような接客スキルが身についていないと、評判やリピーター確保の観点で苦戦してしまう可能性もあります。逆に、接客スキルが身についていて人気のある施術者は、リピート率も高いのでさらにスキルが上がっていきます。おのずと良い循環ができるんです。
コミュニケーション力についても、お客様からの信頼度にも関わってきます。特に初めて来院されるお客様にとっては「この人に私の身体を任せて大丈夫かな」という不安があるものです。
その不安に対し、お客様と会話をして安心してもらえるように努めています。特に、最初のやり取りが大事ですね。
質問6「学校選びで大事なポイントは何ですか?」
自己流や独学のリスク、通学講座との違いが段々分かってきました。
ちなみに、学校を選ぶ時のポイントは何でしょうか?
ポイントはいくつかあるのですが、その中でもどれを重視したいかを決めることが大切です。
これから紹介するポイントを参考に、自分なりの「学校選びの軸」を考えてみてください!
基本的なポイント
学校選びの基本的なポイントは、下記の通りです。これはご自身でインターネットを使って調べることも可能ですので、あらかじめ調べておくとよいでしょう。
次に、Web上の情報だけではつかみきれないポイントをご紹介します。
受付や電話の対応もポイント
例えば、問い合わせた際の受付や電話の対応も1つの判断ポイントになると思います。けっこう雑に答える職員とかもいるので…。すごく感じよく、丁寧に、大事に電話でもおもてなしをしてもらえるっていうのは安心材料になりますよね。
資格の発行は要チェック!
民間だとしても資格を発行してもらえると良いですね。サロンに就職する際の履歴書や面接の際のアピールの材料になります。
独立して開業する方も、資格の発行は合った方が良いです。壁に1枚資格証を飾っているだけでも、お客様からの印象も変わります。協会や公的機関の発行した資格証や認定があることは、施術者のスキルを客観的に評価する際のポイントになるからです。
自己紹介の時なんかにさらっと資格証や認定を受けていることを伝えられると、お客様目線でも「きちんとした資格を持っているんだ」「勉強してきたんだな」と安心感が生まれます。
質問7「複数の学校で似たような講座がある場合は、どう選べばいいでしょうか?」
講座を調べてみたら、整体師の資格を取れる講座やスクールもいくつかありました。
どのうように選べばよいでしょうか?
実際に自分で話を聞いたり見学したりして、違いを確かめると良いでしょう。
実際に足を運び、雰囲気を確かめる
やっぱり自分が実際に足を運んでみて、自分に合うかどうかを確かめることですね。
それを確かめる際には、「何の施術を学びたいか?」「自分はどんな施術をしたいのか?」という部分を明確にしておくことが重要です。それが、あなたが講座を選ぶ際の軸にもなります。
講座や技術を体感してみる
別の観点でいうと、「なぜ自分は施術をしたいのか」というきっかけの体験がある方は「自分はこんな施術者になりたい」というイメージ増を描きやすいと思います。
自分自身が肩こりや腰痛などを経験できていると、それは強みになりますよね。自分が信頼できる施術者に出会えると、理想のイメージ像ができあがると思います。でも、最近は施術を受けたことがない受講生も多いですよ。
質問8「田村先生の考える整体師の魅力を教えてください!」
自分の心と技で、辛い症状や悩みを抱えていて不安になっている困っている人たちが、笑顔に健康になる。そしてその方たちから「ありがとう!」という感謝の言葉を頂ける。
これほどやりがいを実感できる仕事はなかなかないと思います!
次の質問「整体師をしていてやりがいを感じる瞬間はありますか?」で、ひとつエピソードを紹介しますね!
質問9「整体師をしていてやりがいを感じる瞬間はありますか?」
目の前の方の人生が変わった瞬間に立ち会えた時は、喜びもひとしおでしたね!
お客様から「ありがとう」という言葉は何度いただいても嬉しいものです。ただ、それは当たり前ではなく、中にはクレームから始まったお客様もいらっしゃいます。そのお客様が最終的には症状が改善して「人生が変わった」というようなことをおっしゃってくれたことがとても印象に残っています。
その話を少し詳しくさせてもらいますね。
そのお客様(以下A子さん)は、当時の私の同僚の施術を受けて「体調が崩れた」と話をしてきたんです。そこで、当時店長だった私がじっくりと話を聞きながら施術させてもらいました。すると、A子さんは膝の痛みが原因で友人からの旅行の誘いや孫の遊び相手を断らざるを得ないことを、とても残念そうに話していたんですよね。
そこに、A子さんの来院した目的があると感じました。「A子さんが当院を訪れた目的は、膝の痛みをとること自体ではなく、膝を気にしなくて済む元の生活に戻ることだ」と。
A子さんには「まずは旅行に行くことと、孫と遊べるようになることを目標にやりましょう。半年後にそれが叶うようにしますよ。」と話して施術をはじめました。
施術回数を重ねて痛みが和らいでくると、A子さんの行動にも変化が現れてきました。まずは、膝の痛みが無くなったので外出する機会が増えます。そして外出が増えたので髪をばっさり切ったり、服装も変わったりしてきたんですよ。「A子さんが本来の自分に戻ったのでは」と感じました。
さらに、歩く機会が増えたので体重も落ち、膝への負担・痛みが軽減されるという好循環も生まれました。結果的に、半年を待たずして旅行も孫と遊ぶこともできるようになりました。
最終的には、
「クレームの時は私も悪かった」
「先生方に出会えてよかった」
「人生が変わった」
ということをおっしゃってくれたんです。
整体師はお客様一人一人の人間模様や人生に触れ合えるので、単純にコリや痛みを取り除くだけでなく、その先の目的(なぜお客様が来院したのか)も大事なんですよね。
お客様の目的を理解する努力をすることで、私たちに返ってくるものも変わります。これはお金では代えられない部分ですね!
最後に、整体師に興味を持っている方へメッセージをお願いします!
素敵なエピソードをありがとうございます!
最後に、整体師に興味を持っている方へメッセージをお願いします。
人生100年時代です。単に肩こりや腰痛といった症状を楽にさせるという事に留まらず、より健康でイキイキとした日々を過ごして頂けるよう、お客様の傍にいて心身のケアをしていく。必要とされ、頼られ、感謝される。
整体師を目指すと、そんなやりがいが待っています。この記事を読んで「整体師っていいな!」と思ったら、ぜひ整体師を目指してみませんか。仲間になりましょう。
まとめ
この記事では「YMCメディカルトレーナーズスクール」の田村先生に整体師の学び方や体験談を解説していただきました。いかがでしたか?
SNSや動画コンテンツ、そしてWeb上の情報があふれる現代だからこそ、自分の学び方や講座選びで重視したいことを事前に明確にしておくことが大事になりそうですね。
また、整体師のご経験が長いからこそ語れる、貴重な体験談もお寄せいただきました。この記事内でご紹介している田村先生のお話には、整体師を目指すうえで大事にしたいポイントが詰まっています。細かい部分まで読み切れなかった方も、ぜひお時間のある時に読み返してみてください。